第46章

もしあの時、北村健也が今のように彼女を助けなかったら、彼女は今少しでも幸せだったのだろうか?

山田澪が生きる希望を捨てた時、一筋の光が木の葉の隙間を通り抜け、彼女の目に差し込んだ。

山田澪のまつげが震え、彼女は辛うじて頭を上げ、万年青の葉を通してぼんやりと人影を見た。

彼女は下腹部を押さえ、全力を振り絞って少しずつ茂みから這い出した。

その人は遠く、百メートル以上離れていた。

山田澪は声を出すことができず、ただ全力で近づくしかなかった。

彼女は子供を救わなければならない……

その光は懐中電灯からのもので、巡回中の警備員だったが、彼女は地面に伏していたため、警備員は彼女を見つける...

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